OYEITIMES 製プログラマブル SIM カードを試してみた

OYEITIMES Programmable SIM Card

この記事のまとめ:
  • OYEITIMES 製 プログラマブル SIM カードの使用感をまとめています。
  • 非常に安価なプログラマブル SIM カードとして実験用途などで問題なく使えそうです。
背景

LimeSDR mini を使って OpenAirInterface などの OSS のモバイルネットワーク実装を試そうとする際、OAISIM などの端末と SIM のエミュレーションをしない限り、端末側の SIM カードを用意する必要があります。プログラマブル SIM カードとして最安なものは何かと探していたときに Alibaba で OYEITIMES のプログラマブル SIM カードというものを見つけたので試してみました。

とりあえずは書き換え後に端末に挿してみましたが認識はしているようですので使用上の問題はなさそうです。

プログラマブル SIM カードについて

SIM カードとは何かについてはこちらの記事を先に参照されるとよいと思います。

プログラマブル SIM カードとは、ICCID や IMSI、Ki、OP/OPc を書き換えられる SIM カードのことです。MNO や MVNO から発行される SIM カードはこれらの値は書き換え不能かつ、ICCIDとIMSI以外の情報は複製ができないように隠蔽されています。

おそらくこの手の実験をされようとする方々においては、プログラマブル SIM カードとしては sysmocom の sysmoUSIM が一番実績があるように思います。価格も SIM カードと ADM key 付きで 80 € 程度と比較的お手頃です。

一方で、OYEITIMES の SIM カードですが販売形態や販売元によって価格は様々ですが、私が購入したものは SIMカード5枚とカードリーダーライターと専用ソフトウェア付きで \5,000 程でした。というわけで、もう少し OYEITIMES プログラマブル SIM カードについて見てみます。

OYEITIMES プログラマブル SIM について

基本的な情報としてはこんな感じです。

見た目はトップ画像の通り、両面とも真っ白な状態で、いかにもブランク SIM という感じでしょうか。

sysmoUSIM はカードサイズごとに異なる製品だったのに対して、OYEITIMES の SIM カードは付替え可能なところが良いです。また、SIM カードだけであれば1枚200円程度で購入できるのも非常に親切です。

ちなみに販売サイトを見ると、もうすでに 5G 対応用の SIM カードも販売されていますね。

OYEITIMES SIM カード専用ソフトウェアについて

OYEITIMES SIM カードの読み書きには専用ソフトウェアが必要なようですので、最初に購入する際は専用ソフトウェア付きのセットを購入したほうがよさそうです。

ちなみにCDか何かで送られてくるのかと思っていたのですが、届いてみたらSIMカードとカードリーダーライターしか入っていなくて、こちらから連絡してみたら後からメールでダウンロード用URLを送ってくれました。

ソフトウェアバージョン

私が購入したソフトウェアのバージョンは v3.1.18 です。販売サイトを見ると様々なバージョンのソフトウェアがさまざまな価格で販売されていてよくわかりません。おそらく v4 以降で 5G 対応になったのではないかと思います。

対応 OS

ソフトウェアは Windows 用しかなさそうです。特にレジストリーをいじってインストールをする必要もなく exe ファイルを実行するだけです。

実行画面

ソフトウェアを実行すると下のような GUI が開き、この画面上で読み書きができます。なお、sysmoUSIM は Python で書き換える必要があるので Windows がある環境であれば、この方が断然楽です。

OYEITIMES SIM Card Programming Software

開いたものの GUI 上でヘルプ機能は一切なく、もちろん説明書も入っておらずで、唯一送られてきたファイルにあった説明は下記だけです。

Operation steps

Step 1: Read Card

Step 2: Input data

Step 3: Write Card

そりゃそうだ、って感じの説明ですね。

幸い、軽く触ってみたところ、下記の手順で特に問題もなく、SIM カードの書き込みができました。

  1. Reader(PC/SC) プルダウンからカードリーダーライターの選択
  2. Read Card ボタンから SIM カードを読み込む
  3. ICCID、IMSI、Ki、OPc などの必要な情報を記入
  4. Write Card ボタンから SIM カードに書き込む
  5. (おまけ)PLMN関連の右にある Auto ボタンで IMSI から自動ときに PLMN の情報を書き込んでくれます
カードリーダーライター

今回はカードリーダーライター付きで購入していたのでそれを使って SIM カードの書き込みをしましたが、GUIの実行画面上の Reader(PC/SC) のプルダウンを見ると次のものが対応していそうです(動作未確認)。

ちなみに購入したものは OYEITIMES 製の MCR3516 という型番のものですが Identive CLOUD 2700R をベースにした製品のようで、Reader(PC/SC) のプルダウンではこの型番を選択することで反応しました(むしろ MCR3516 というものはプルダウンにはありません)。

実機確認

その辺に転がっていた Galaxy Note 3 に挿してみたところ、書き込んだ ICCID になっていることが確認できました。なお、”8981990123456789012” と書き込んでみたのですが自動的に最後の桁に check digit として “6” が挿入されたようです。

SIM check

用語説明
Parameters Description
ICCID (IC Card ID) SIMカードに付与された固有の16進数19-20桁の番号
最初の1-2桁目は産業識別 (電気通信は89)、3-4桁目は国番号 (日本は81)、日本の場合、5-6桁目は事業者番号、7-18桁目はカード番号、最終桁目はチェックデジットを示す
IMSI (International Mobile Subscriber Identity) MNOによって付与される固有の15桁の番号
最初の3桁はMCC、次の2-3桁はMNC (通常は2桁)、残りの桁はMSINを示す
MCC: Mobile Country Code
MNC: Mobile Network Code
MSIN: Mobile Subscriber Identification Number
Ki (3GPP標準規格上はK) 128ビット (16進数32桁) の加入者秘密鍵
OPc 128ビット (16進数32桁) の OP と K から算出される番号

今回は以上です。 最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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